3児の母、ぱわまむです。
1人目と2人目は通常の経膣分娩で頑張った私が、3人目にして初めて無痛分娩してみた実体験のリアルなレポートをお届けします。
無痛分娩したいけど実際どうなんだろう?という人の参考になれば嬉しいです。
無痛(和痛)分娩をしようと考えた理由
なぜ無痛(和痛)分娩をしようと考えたのか。
そう。出産は痛い。
実際に体験してみると、痛みが和らぐことのメリットは「痛くない」だけではありませんでしたが、体験前はこれが第一。
陣痛・出産の痛みについては、人生最大の痛みだとか、鼻からスイカだとか、男性なら痛みで死んでるとか、様々な表現で語られていますよね。
それなのに、なぜ最初から無痛にしなかったのか。
そもそもの部分から振り返っていきます。
一人目・二人目で無痛を選択しなかった理由
ひとつには、好奇心があったことは否定できません。
出産の痛みを体験してみたい、という純粋な興味。
今思えば別にわざわざ痛い思いをしに行く必要はないのですが、実際どんなものなのか、気になっていたのは事実です。
それに加えて私が一人目を出産した2013年当時、無痛分娩自体は存在していましたが、実際に選ぶ人は周囲にはほぼおらず、体験談を知る機会はありませんでした。
地方都市に住んでいたことも影響しているかもしれません。
『皆通常分娩している』からと、あまり深く考えることもなく通常分娩にしたのです。
痛みはどうだったかって?
当たり前です。
でも、幸い陣痛に苦しむ時間はかなり短くすみました。
なので2人目の時に妙な自信があったんですよね。
ちょっと軽く引っぱたいて目を覚まさせたほうがいいかもしれません。
実際2人目は1人目よりもさらに苦しむ時間が短かったのは事実。
でも痛みのピークはやはり強烈で、過去の楽観的過ぎる自分を恨みつつ、苦しみ必死で呼吸しながらも頭のすみっこにようやく引っかかっていた理性でこう考えたのです。
3人目で無痛を選択した理由
初産婦の通常分娩、経産婦としての通常分娩を経験して、次は無痛を体験してみたいという気持ちが出てきました。
一般的に経産婦は初産婦よりもお産が軽いものとされます。
が、そうはいっても痛みのピークでは脂汗を流し我を忘れて叫ぶほど強烈であることに変わりないということが、二人目の出産でわかりました。
今すぐ麻酔を打つか帝王切開で取り出してほしい!!と2人連続で思ったのは私です。
ちなみに、出産前は自分は痛みに強いと思っていました。
夫も私のことを我慢強く冷静な人間と認識していたため、陣痛中の私のあまりの様子に「ただごとではない」「死ぬかもしれない」と思ったそうです。
ですから夫が無痛分娩に反対するはずもありませんでした。
2人目分娩中の過去の自分との約束も忘れてはいけません。
3人目は無痛。
これを前提に3人目出産計画を立てたのです。
無痛分娩と和痛分娩の違い
意外と知らない人が多いようですが、無痛分娩と和痛分娩は医学的には同じものを指します。
硬膜外麻酔という手法による痛みの緩和方法で、同じ麻酔薬を使います。
施設や医師によって使用する薬剤に違いがあることもあるようですが、無痛と和痛は本質的には同じもの。
「無痛」とうたっていても痛みが完全になくなるわけではないことがありますし、「和痛」と言われていても痛みがないこともあります。
山王病院産科の主治医からこのような説明を受けたので、間違いないでしょう。
病院によって採用している表現が違うだけ、と考えた方がいいようです。
「無痛」と言っていて痛みが完全にゼロでなかったときのトラブルを避けるために、あえて「和痛」という表現を使うこともあるのかもしれませんね。
なので、産院を選ぶときには「無痛」か「和痛」かではなく、その他の条件で選んだ方がいいでしょう。
私が出産した山王病院では「和痛」としていますが、これ以降は無痛と和痛を区別せず、まとめて「無痛分娩」と書いていきますね。
無痛分娩の実体験エピソード
3人目は夜間の破水から分娩がスタートしました。
上2人は陣痛からのスタートだったので、自宅での破水は初体験です。
夜12時頃寝返りを打ったタイミングで尿漏れかと思うような感覚。
トイレに行って用を足して、また横になると同じように液体が出てくる。
陣痛はまったく来ていません。
過去2回はいずれも分娩台に乗った後の破水で、大量の水がそれこそはじけ飛ぶように出てビショビショになりました。
それからすると、おりものかな?と思う程度のごく少量。
でもまず破水だろうとピンときたので、タオルを当て、あまりたくさん出ないよう横になったまま病院に電話。
当然すぐに受診するよう言われたので、タクシーを呼んで夫を起こしました。
とはいえ夫にできることはあまりなかったのですが、準備していた荷物をタクシーまで運んでもらいました。
夫は寝ている2人の子どもたちと自宅待機です。
病院到着が夜の1時ごろ。
診察してもらうとやはり破水ということで、即入院。
麻酔科医の出勤する朝9時まで産まれていなければ、麻酔してもらうことができます。
陣痛はまだやってこないので、「来るな来るな」と祈りつつ眠りにつきました。
麻酔科医に硬膜外麻酔をしてもらう
弱い陣痛が定期的に始まった頃、無事朝を迎えました。
主治医の先生によれば、上2人がスピード出産だったから間に合わないと思っていた、とのこと。
麻酔の準備が整うまで主治医の診察を受けたりNST(赤ちゃんのモニター)をつけたりしつつ待ちます。
9時半ごろにLDRという部屋に移動して、麻酔科ドクターの処置を受けました。
LDRというのは陣痛室と分娩室と回復室が一体になった部屋で、一旦入ってしまえば自分の部屋に戻るときまで移動する必要がないというありがたい設備です。
写真をとっていないのでお見せできず残念ですが、さすが山王病院というか、やたらと広くてゴージャスな部屋でした。
硬膜外麻酔のための処置は、背中に麻酔のための管を入れるんですね。
管といっても点滴の管とは比較にならないほど極細で、背中でふんでも存在が認識できないレベル。
この管を通じて背中から麻酔の薬を入れることで、意識をクリアに保ったまま赤ちゃんにも影響なく、下半身の感覚(つまり陣痛)をマヒさせることができるのです。
この管を入れるための処置はほんの少しですが頑張りどころ。
ベッドの上で横向きになり、膝を抱えて小さく丸まった体勢をとらないといけません。
臨月の大きいお腹でこの体勢、結構きつかったです。
助産師さんがサポートについて、体を支えてくれます。
麻酔のドクターはまず背骨の突起を触って、管を入れる場所を確かめていました。
消毒を念入りにして、局所麻酔。
歯の治療などのように、この局所麻酔が一番痛いことを予想していた私。
動いてしまわないようにかなり緊張していたのですが、思ったほどは痛くありませんでした。
あとは後ろでゴソゴソ色々やっていましたがよくわかりませんでした。
無事管が入って、試しに麻酔薬を入れると背中がヒンヤリする不思議な感覚。
決して不快ではなく『これで無痛分娩だぜ』とニヤつきたくなる気分でした。
麻酔の影響で血圧が下がりまくる
無事麻酔が効いてきたので、あとは分娩が進むのを待つばかり。
かけつけた夫も部屋に入ってきて、子どものことなど話しながら和やかに待っていたのですが
血圧のモニターが頻繁に鳴ってスタッフが何度もやってきました。
仰向けでいるとどうも気持ちが悪い。
私はもともとかなり血圧が低く、お風呂上りなどに起立性低血圧で気分が悪くなったり失神したりしたことがあります。
その時と同じ気持ち悪さ。
血圧が下がっていたんですね。
麻酔のせいと、体勢のせいと、両方。
麻酔を下半身全体にしっかり効かせるには仰向けが一番ということでしたが、あまりに血圧が下がるのと気分が悪いのとで横向きにさせてもらいました。
この時点では足に力がうまく入らず、手伝ってもらわないと向きを変えることができません。
ちなみに、自力でトイレも行けませんから助産師さんが尿道バルーンを入れてくれています。
何だかんだと一時ちょっとバタついた雰囲気でしたが、しばらくすると気分も血圧も落ち着き、仰向けで過ごしても大丈夫になりました。
麻酔って素晴らしい!
NSTモニターを見るとかなり子宮の収縮が強くなっていて、お腹の張りも感じるのに、痛くない。
時々麻酔が切れてくるとじわーっと陣痛の痛みを感じるけど、たいしたことないレベル。
時々助産師さんや主治医の先生が様子を見に来てくれて、診察しては「今子宮口○cmだね」「順調ですね」などと言っていきます。
子宮口が10cmになると全開大で、赤ちゃんが出てくる準備が整った、という状態。
陣痛のつらいのは、お腹の痛みはどんどん強くなって早く赤ちゃんを産みたい感覚になってくるのに、子宮口が全開になるまでは「いきんではいけない」こと。
そのため強烈な痛みを呼吸法などで無理やり逃がすわけです。
赤ちゃんが出てくる「いきんでいる時」ではなく、「いきんではいけないから痛みを我慢するしかない時間」がとにかくつらいんです。
ですから通常なら「子宮口全開までもう少し!」というタイミングの痛みとつらさはもう最高潮。
それがですね。
主治医の先生の内診を受けながら夫とくだらない話で笑っている時に「もう子宮口全開ですね」と言われたんですよ。
思わず「えっ?本当ですか?」て聞き返しましたよね。
あぁ、麻酔って素晴らしい!
無痛分娩の経験豊富な主治医の先生は「スゴイでしょ?」と笑っていました。
さて子宮口が全開ということはこれからいきむんですね~よっこらしょ~、と動こうとすると、先生に制されました。
あ・・・あれ?思ってたのと違う。
もう先生も、複数の助産師さんも、ベビーのお世話グッズも、準備万端です。
デモ、ワタシ、イタクナイ。
過去2人はこんなタイミングではもう必死で汗だくでいきんだり叫んだりお茶飲んだり意識が飛んだり・・・とても周囲を気にする余裕なんてありませんでした。
皆赤ちゃんの誕生を待っているのは一緒。
でも誰も叫ばないし(当たり前)、誰も「頑張れ~上手よ!」とか言わないし(当たり前)、何だろうこの静かで落ち着いた場所は。
痛くないとあんなにたくさんの人に囲まれてるのが何だか申し訳ないような気分になるんですね。
お腹の張りは感じていたので、いきんでと言われたらいきめたと思いますが。
たぶん私よりも居心地の悪かったであろう夫と、ニヤニヤ顔を見合わせて「麻酔スゴい」「え、どれぐらい痛くないの?」とごにょごにょ言っているうちに、赤ちゃんがぐっと降りてきました。
主治医の先生に軽く「触ってみる?」と言われたので股間に手をやると、温かくて湿っていてほのやわらかい次男の頭が出ている!
わ~お、もう未知すぎてテンションがあがりまくり。
夫にも勧めましたが拒否されました。
で、最後少しだけお腹の張りと周囲の掛け声に合わせて軽く「ん~」っといきんだところで次男坊誕生。
無事産声を上げて、やっと写真撮影など夫の活躍のしどころが。
麻酔はすぐには切れませんから、後産(胎盤が出てくるところ)もほんの少し切ったところの縫合も何も感じません。
あまりに静かで落ち着いた無痛分娩の快適さをかみしめるのみ。
体力の消耗もありません。
これならキャサリン妃も笑顔で翌日退院できるわな~と異国の王家に思いをはせる余裕さえありました。
あぁ、麻酔って素晴らしい!
経膣分娩と無痛分娩を両方経験してみた感想
無痛分娩にはメリットもデメリットもあります。
デメリットには医学的なリスクだけでなく金銭的な問題もあります。
医学的なリスクについてはきちんと医療機関で情報を得てくださいね。
中には希望しても受けられない人もいるでしょう。
幸運にも無痛分娩を選択できる人にとっては、そのメリットは計り知れません。
初産の自然分娩、経産婦の自然分娩、経産婦の無痛分娩の3パターンを経験してみた今、友人に相談されれば無痛を否定することはありません。
あんなに快適なお産ができるなんて、想像をはるかに超えていました。
無痛分娩は人類の夢といってもいいかもしれないと本気で思います。
今時歯を抜くのにも麻酔が当然なわけで、出産だって麻酔を当たり前に使って痛みはとってしまえばいいんですよ。
でももし仮に、自分が1人目出産前に戻れたとしても、無痛分娩を選択しないかもしれません。
2人目出産前に戻れたら、迷わず無痛分娩を選択します。
「完全無痛ではない」ことと「初産婦の無痛分娩の方が経産婦よりもリスクが高い」ことがその理由。
経産婦なら「この痛みは陣痛のピークに比べれば随分マシ」と思うような痛みレベルでも、初産婦なら「ありえないほど痛い」と感じる可能性があります。
無痛の効果を実感できないのなら、高額の麻酔料などを支払うのはもったいない。
それから、私が最終的にほぼいきまずに出産することができたのは、経産婦だったことが大きいのです。
すでに産道(赤ちゃんの通り道)が出来上がっていて、開きやすくなっていたから、無理にいきまなくても赤ちゃんが自然に降りてくることができた、ということ。
初産婦だとこうはいかないことが多いでしょう。
主治医からもそのように説明されました。
初産婦で痛みを抑えすぎて陣痛を感じられなくなると、いきみ方や力の入れどころがわからず、最悪の場合赤ちゃんを危険にさらすリスクがある、と。
そうすると陣痛の痛みを取っている場合ではなく、通常の分娩や帝王切開に切り替える判断になることもあります。
麻酔料は当然返ってきません。
ですから初産婦の場合はそれこそ主治医とよくよく相談して、経産婦よりも麻酔が弱いかもしれないし期待より痛いかもしれないことを理解したうえで選択したほうがいいと思っています。
お産は何が起こるかわかりませんから、特に初めてなら慎重に検討したうえで選択することを強くお勧めします。
経産婦なら、医学的リスク&金銭面のデメリットと出産の痛みによる辛さを天秤にかけて、判断してみてくださいね。
2人目以降の出産に無痛をお勧めするのはリスクが低いからだけではありません。
退院後赤ちゃんのお世話だけでは済まないのが経産婦。
上の子のお世話をするには体力が必要です。
夫や親戚など誰にも頼れないお母さんは特に。
上の子の保育園や幼稚園の送迎などがあるなら、その部分を外注するとか、自分でできるように出産で体力を使い切らない(無痛分娩にする)とかいう手段も検討してみてはいかがでしょうか。
私は無痛分娩のおかげで上の二人の子どもたちの相手を退院直後から笑顔でできたと考えています。
夫など他に頼れる人がいるのがベストとは思いますが、難しい場合はこういう手段もある、ということ。
自分だけが頑張れば・・・というように追い込みすぎて病んでしまうこともありますから、とにかく無理しすぎないようにしたいものですね。
まとめ
3人目にして初めて無痛分娩で赤ちゃんを産んだ体験談をお届けしました。
山王病院の「和痛分娩」でしたが、ほとんど痛みを感じずいきむ必要性もほぼない、とても静かで落ち着いた出産。
感動的なほど快適なお産でした。
もちろん我を忘れるほどの痛みに耐えて出産した上の2人と同じく、かわいくて愛しい最高の我が子であることは言うまでもないですね。
無痛分娩のメリットとデメリットをよく知ったうえで、どんなお産にしていくか考えていく際の参考にしてもらえると嬉しいです。